空きっ腹にたましい

初谷むいのたのしいブログ

7/12 いちめんにしきつめられた誰かのたましい

さっきまでとても眠たかったのに、急に目が冴えた。さぼってた日記を書く。

 

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 なりたかった人がいる。

 

今のわたしは元のわたしと、わたしがなりたかった人たちのかけらでできている。どうしてもなりたかった人が一人いて、(なんかこの人の話前もした気がする。昔のことだから思い出しておきたいのだ。)おおきな身振りが好きで、声が好きで、すぐおどけるところが好きで、頭がいいところが好きだった。好き、というよりも焦がれていて、どうしてもその人になりたかった。誰かになりたい、と切望したのは、たぶんそれが最初で、それきりのことだ。ときどき、というのはみんなのまえでおどけたときや、上手でやさしい相槌をうてたとき、その人のことを思い出す。いま、この文章を打ちながら顔や、声を思い出そうとしたのだけど、驚くことに何にも出てこなかった。Tシャツの肩の感じとか、手や、自転車を押していた姿なんかはでてくるのにだいじなことはなにももうわからない。どこがどんな風に好きだったのかも、実はそんなに思い出せなかった。ぼんやりと、なりたかったなあ、なりたいなあ、と思う気持ちのうすまったのだけがじんわり頭の中に広がっただけだ。

 

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あなたになりたかった。器用で明るくなりたかった。みんなに興味がなくても、みんなから好かれたかった。無理だったな。

 

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一番なりたかったのはその人だけど、わたしは周りの大好きな人たちにいつもすこしなりたくて、言葉とか、すぐうつる。高校の時のだいすきな女の子の喋り方は今でもときどきでてくるし、尊敬していた先輩の考え方を真似して話している時もある。なりたい、がキモいことは本当はわかっている。だってなれないし、なりたい、と言われた方も困るだろう。現に、あなたは少し困っている。

もしもわたしが誰かになりたい、と思われていたら、やっぱりちょっと困ると思う。がんばれ!とも言えないし、やめて、というのもちがう。べつにそのままで、大丈夫だと思うけどなあ、くらいのことを言いそうだ。いま想像して思ったけれど、なりたい、と言われたら、仲良くはなれなさそうな感じがする。わたしとあなたはちがうからおもしろいのだ。ほんとだよ。でも昔は、そんなことにも気づかなかった。

 

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その人と一度だけご飯を食べて、そのときその人がその店の店員さんのことを、チームナックスの誰かに似てるね、と言って、わたしはチームナックス大泉洋しか知らなくて、でも知らないって言えなくて、えー、誰でしたっけ!って言って、それがすごくさみしかった。この人にはなれないんだ、とつよくおもった。結局仲良くなることもなかった。今はどうしているんだろう。別に会ったって、また、なりたいなあ、って思うだけだと思うけど。それはすごくかなしいけど。

 

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なれないのに、わたしたちはいつも誰かになりたくて、誰かになりたいのはとても、いつも、さみしいことだった。当時、わたしはこの気持ちを恋だとおもっていた。まちがってはいないんだろうけど、わたしはその人が欲しいのではなくて、その人そのものになりたかった。その人の見ている世界を、好きな人や物を、嫌いな人や物を、知り、理解したかった。宗教のようだった。わたしの神様は、わたしだけの神様で、神様ではなかった。いまならわかるよ。

 

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他の人はどうしようもなく遠くにいて、分かり合える日なんてこないのだ。なりたいあなたにはなれないまま、きみだけはわたしのことを知っていると思い込んで、今日もなんとかやっていく。テレパシーが欲しい。強力なテレパシーが。もしテレパシーがあったら、わたしはまずきみに、やさしい気持ちを加工せずに送るだろう。わたしはあなたにはなれなかったが、あなたの断片がわたしの中に生きている。勝手にばらばらにしてごめんなさい。どうか、元気で、いてください。

 

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♡今日の短歌♡

どしゃぶりの虹の中ではこの日々もあかるくみえる みえていますか

 

♡今日の音楽♡

過呼吸です。/挫・人間