空きっ腹にたましい

北大短歌の初谷むいです。

短編

理屈にならない春のこと

春になって、学校の都合で海辺の町に引越しをすることになった。新しい家ですべての荷物をほどき終えて、いざ生活を始めてみると、はじめての一人暮らしはなんだかままごとのようでとても楽しい。すこしずつ野菜や肉を買ってきて、小さい冷蔵庫に入れて、と…

きのこの刺繍

さだめがきのこの刺繍しか食べられない女の子だって知ってからも、僕はさだめのことが好きだった。さだめは大学二年の春に今まで好きだった牡蠣のアヒージョも肉巻きアスパラもスイカもナタデココも塩パンもぶどうゼリーも全部食べられなくなって、代わりに…

最後の発明その発光・わたしはかなしかった

メリークリスマス、という言葉を二十四日に使うべきか二十五日に使うべきかわからないままに二十歳になってしまったわたしはそんな簡単なことも人に聞けないようなかわいい女の子でしかも処女で、二十四日の浮かれた夜を結局「メリークリスマス♡」と誰にも言…